ゆっくりいこう ~不登校ふたりっ子の足跡~

不登校の双子と生きる母の忘備録

着ぐるみと着ぐるみの中身

昨日の日曜日は夫が休みでした。

夫が休みだと、次男がどうしても自室に籠りがちになります。

私も神経をつかって疲れる・・・。

 

夫が仕事で不在の月曜日。

子どもたちは朝からリビングでリラックスモードです。

 

前回、長男の担任と児童精神科を受診したことを書きました。

そこから、なぜ長男が親の私から見てもわかりにくいと感じる子なのか、少し見えてきた気がします。

 

eco-hs-o.hatenablog.co

 

本音が見えにくい長男

 

長男は今年の4月に自閉スペクトラム症の診断を受けました。

でも、長男のことを知っている人のほとんどは、長男が発達障害だとは感じないと思います。

 

支援級の担任の先生は、長男の印象についてこう語っていました。

「自閉っぽさを感じない。

新しい提案にも乗ってくるし、少人数の中ならコミュニケーションにも問題ない」

 

親の私から見ても、長男は穏やかで素直で、次男が絡まなければ聞き分けの良い子です。

私や夫とも、ほとんど衝突することはありません。

双子じゃなかったら、この子は育てやすい子なんだろうなぁ・・・と思ったことすらあります。

 

でも、周囲から見えているこの長男のキャラクター(着ぐるみ)は、過適応している状態なのだそうです。

 

↓ 次男の過適応について書いた記事です。

eco-hs-o.hatenablog.com

 

ただし、本質の長男(着ぐるみの中身)は自閉特性を持っています。

自分の世界を持っていて、マイペース。

強いこだわりがある。

自分の中で一定の範囲外にいる人や事柄には興味を示さない。

 

着ぐるみの長男は、相手に合わせよう、求められていることに応じようと一生懸命です。

実際にやればできてしまうことが多いので、普通の学校生活を送っていた頃は「できる子」と評価されてきました。

一見適応しやすい子のように見えるけれど、本質に自閉特性があるので、本当はすごく無理をしている状態なのだそうです。

 

社会の中で生きていくには、多かれ少なかれ、みんな表向きの顔と本来の素顔を持っていると思います。

でも、着ぐるみと着ぐるみの中身のギャップが大きいほど、生きづらさを感じるのは当然です。

 

着ぐるみなんて身につけず、ありのままの自分でいられたら、気持ちが楽になるのかな。

せめて仮面くらいにできたらいいのかもしれません。

 

どうして着ぐるみの中に入ってしまったのか

 

自閉特性があると言うと、空気が読めないとか、融通が利かないという印象を抱く人もいると思います。

 

長男は確かにそういうところがあります。

相手の都合を考慮せずに、自分の主張だけを繰り返したり、

明らかに私と次男が深刻な話をしているすぐ隣で、読んでいた漫画の面白い場面を見せようとしてきたり。

 

でも、着ぐるみを身につけた長男は、空気を読んで、相手の求めている言動を理解していると思います。

これには、長男の知覚推理と処理速度の能力の高さが関係しているそうです。

「こういう時はこうするべき」というのも、経験的によく記憶しているのでしょう。

ひといちばい敏感な次男は直感的に空気を読んでいるのに対し、長男は頭で理解して対応しているイメージです。

 

そして長男には、周りに影響されやすく、流されやすいところがあります。

これは、自分と他者との境界が薄いという自閉特性のひとつだそうです。

 

私はずっと、長男は話せばわかってくれる子だと思っていました。

四六時中一緒にいる次男からは多大な影響を受けているし、夫にもよく遣り込められています。

でも、実際には長男なりの欲求やこだわりがあるはずで、ずっと我慢をしてきたのかもしれません。

 

頭で理解して空気を読む。

他者に影響されやすい。

これらが合わさって、本人も気づかないうちに自分の感情、本音を出せなくなってしまった・・・。

 

私は11年も、間違った対応をしてきてしまいました。

聞き分けの良い長男に甘えて、本当の姿を見ていませんでした。

後悔してもやり直すことはできないけれど、未来は変えられる。

長男が着ぐるみを身につけなくても済むように、変えていかなければいけないと思います。