ゆっくりいこう ~不登校ふたりっ子の足跡~

不登校の双子と生きる母の忘備録

ぬいぐるみ好きのきっかけ

こんにちは。

 

今年も残すところ1ヵ月となりましたね。

 

週4ペースで給食登校を続けている長男から、先日とある宣言が。
「12月は休まず行くつもり」
ほ~・・・がんばるね。
宣言通り通えるかどうかわかりませんが、長男のがんばりたい気持ちをサポートしていきます。

 

さて、今回の記事は、次男がぬいぐるみ好きになったきっかけであるゾウさんと次男のお話です。
ちょっといつもと趣向を変えて、物語風に。
お時間がある方は良かったらお付き合いください♪

 

はじまりのぬいぐるみ


男の子は車にお座りしているゾウさんが好きでした。
白くて、ぽてっとしていて、何か言いたげにじっと見つめてくるゾウさんがとても可愛いのです。

 

ぼくにちょうだい

 

お母さんにとってもお気に入りのゾウさんでしたが

 

大事にしてね

 

男の子は嬉しそうに、両手でゾウさんを包むように抱えました。

 

遊ぶ時も、お出かけの時も、寝る時も、男の子はいつもゾウさんと一緒。
大切な親友でした。


ところがある日、ゾウさんの背中からポロポロポロ。
白いプラスチックの粒がこぼれ出てきたのです。

 

ゾウさんの体には、プラスチックのペレットが入っていました。
いつしか白いフワフワの毛はほとんど抜けて、生地も薄れてしまい、その隙間からペレットが出てきてしまったのです。

 

男の子は涙を流しながら、ゾウさんをお母さんのところへ連れて行きました。

 

大丈夫、手術して治してあげるね

 

ゾウさんは手術を受けて、元気になりました。
でも、それからというもの、同じことが何度も起こったのです。

 

男の子は言いました。

 

ゾウさんが死んじゃったらどうしよう。もう遊ばない。飾っておく

 

* * * * *

 

数ヵ月経った頃、男の子にあるプレゼントが届きました。

 

白いゾウさんです。
それも新品でフワフワの。
男の子はまたゾウさんと一緒に遊んだり、お出かけできるようになりました。

 

ボロボロで色褪せてしまったゾウさんも、男の子にとっては大切な親友。
新しい相棒を得てからも、ベッドの横に飾ってたくさん話しかけていました。

 

* * * * *

 

男の子は大きくなりました。
ゾウさんが親友であることは変わりません。
うさぎさん、くまさん、イルカちゃん。
ゾウさんのほかにもお友だちがたくさん出来ました。

 

でも、新しくてフワフワだったゾウさんは、またボロボロになってしまいました。
毛が抜けて、色も褪せて、手術した傷跡がいっぱいです。
お座りさせてあげても、体がくてんと倒れてしまいます。

 

男の子は、もうゾウさんと遊ぶことは止めました。
ベッドの横に2匹のゾウさんを並べ、毎晩「おやすみ」を言います。

 

* * * * * 


年月が経ち、男の子はさらに大きくなりました。

 

ぼく、ぬいぐるみを作れるようになりたい

 

ぬいぐるみはいつも男の子の味方でした。
いつでも話を聞いてくれて、励ましてくれる声が聞こえるのです。


ぬいぐるみを作れるようになった男の子は、大切なゾウさんを元気にしてあげる方法を思いつきました。
抜けてしまった毛は元に戻りません。
でも、体の中身を入れ替えてあげれば、また目をキラキラさせてお座りしてくれるのではないかと思ったのです。

 

男の子はゾウさんに麻酔をかけて、手術を始めました。
慎重に背中の糸をほどき、体の中身を取り出しました。
手足の綿は固まってボロボロでした。
新しいペレットと綿を少しずつ体に詰めて、優しく形を整えました。
最後に背中の縫合です。
一針一針丁寧に。

 

ゾウさんは、顔を上げて座れるようになりました。
男の子をじっと見つめてきます。

 

ありがと


手術をしてお座りできるようになっても、やっぱりゾウさんはボロボロです。
でも、男の子は満足でした。

 

やりたかったことがひとつできた。嬉しい

 

今日も2匹のゾウさんは、ベッドの横に座っています。


今、男の子は13歳。
夢に向かって一歩ずつ進んでいます。